
| タイトル |
真夏の夜の雪物語 -MIDSUMMER SNOW NIGHT- | ||
|---|---|---|---|
| メーカー |
EX-ONE |
発売日 | 2011年12月22日 |
| 原画 | みけおう | シナリオ | サイトウケンジ/深山ユーキ |
| 評価 |
77点(100点満点中) | ||
エロゲ業界としては「青空の見える丘」や「あかね色に染まる坂」などで名前を売り、その非常に軽妙でポップな
ライトユーザー向けと断言して差し障りないであろう文体で人気を博す、現在はラノベなどでも活躍中の
シナリオライター・サイトウケンジ氏が自ら立ち上げた新ブランドEX-ONE。本作はその処女作となります。
作品発表開始当初から氏らしいセンセーショナルさを押し出すデザインや、かたや一方で昨今の
ウケ筋に倣ってのインパクトの強いおっぱい攻勢、発売まで毎月のようにあるイベントやコンテンツの数々など、
非常に精力的な姿勢は私的には好印象でしたが、しかし出る杭は打たれるというか、出すぎてるが故に結構
風当たりも強い前印象の一本だったのではないかと思います。
ましかしそれはそれとして、実際の内容としてはライターの名前やデザインの方向性などはかなり
ういんどみるの前作「HYPER→HIGHSPEED→GENIUS」との相似な面が多く、そしてあちらがなかなか
好感触なゲームだっただけに、こちらも結構いけるんじゃない?なんて思ってましたが。
実際のところは・・・良くも悪くも、といったところでしょうか。
いいところや工夫はなかなか多く見られる作品です。まずもって確かに大きすぎるの範疇に両足突っ込んでいる
おっぱいそれ自体の好みの是非は置いておくにしても、セクシャルアピールとしてはいい魅力を持っているのは
少なくとも確かですし、デザインや雰囲気作りも上々。シナリオの方も、意外や意外にもライトな萌え部分よりも
軸としてのギミックや設定の方にも力が入っており、最後までプレイする面白さのある作品になっています。
しかしその一方で、デザインや演出に「力を入れすぎて」テンポが悪くなっているというサイドバイサイドな
欠点や、まずもって根本的に、サイトウ氏にユーザーが求めるであろう萌えとイチャラブの側面が
シナリオの軸部分に押されて目立たなくなってしまっている部分などもかなり惜しい部分。
なんというか、ゲームを作る上での素材をいっぱい準備したものの、調理過程であれもこれも入れすぎて
バランスを取りそこなった、というような感じを覚えました。
工夫のスタンスなどはやはり非常にモチベーションを感じて好きなんですけどね。
悪いゲームではないですし、基本的には非常にウケ幅の広いゲームだとは思いますが。
その幅の広さが薄さにも繋がり、無難という落とし所にハマってしまったかなぁという惜しい作品かと。
以下長文感想。
■ボリューム及びルート構成について
非常に特殊な構成をしています。メインヒロインは4名。春野の双子姉妹は予約特典ディスクでのみ
おまけルート的に攻略が可能ですが、本編では攻略不可となります。
共通パートののち、優樹菜以外の3ヒロインをまず2通りのルートでクリアし、最後に優樹菜が攻略出来、
その後4人全員のアフターパートがプレイできる、という構造。
最初は慣れないかもしれませんが、すぐ理解できるしすんなりプレイできるようにはなるはず。
プレイ総時間としては20時間ほどで平均的ほどでしょうかね。
ちなみに予約特典のサブディスクはこちらプレイ時間30分か・・・1時間もかかんないくらいですかね。
春野姉妹攻略と言っていいのかすら怪しいかなりのウルトラはっちゃけディスクとなっている上、
本編のネタバレもバンバン含まれているのでクリア後のプレイを推奨、というか必須でしょう。
クリアするまでやっちゃダメ、絶対。
■攻略について
攻略については普通に進める分には難しくありません。まず根本的に、各ヒロインのルート3or2種については
共通終了後はスタートからそのまま直接選択して入り込むことが出来ます。いわゆるALcotハニカムの1週後の
分岐と似たようなものですね。進めるについても、普通のゲームの選択肢はせいぜいHシーンの
中外程度しかなく、各ルート平均3度ほどずつある「とある決断」を画面に従ってするだけとなってます。
ちょっとだけ普通より手間ですが、一応ちゃんと意味もあるし発展性のありそうな
興味を持てる進行方式だとは思います。
ただそれとは別に、この決断を選び損ねることで入り込めるBAD ENDがやったらめった多く、加えてこのBADが
いわゆるタイガー道場的なコレクション要素を備えてるのがタチわるめ。後述するゲームの進行関係の
演出上の不便さによりBAD回収を頑張るのはかなり面倒です。出来れば基本、全ての選択肢で
セーブをしておくのをオススメします。正直それでもめんどいところがあるくらいなので、これはもうちょっと
ユーザビリティに配慮してほしかったポイントではあります。
■ゲームの進行関係
まず「真夏の夜の」なんてタイトルからして言っての通り物語は夏のお話ですが、「雪物語」なんてタイトルから
しての通り(笑)真夏なのに雪が降る町、という設定の都合上背景いたるところに雪が積もっており、
季節感がムチャクチャでこの違和感だけは最初から最後まで拭えません。仕方ないけど気になる所ではあり。
時系列の進み具合には致命的なわかりにくさこそないものの、チャプターごとのアバンと本編の時系列逆転を
かなり多用するので、時間感覚は無駄に煩雑。加えて演出として挿入される各章につきIN、中間、OUTで
三回あるアイキャッチと、根本的な章立ての区切りが多いのがその傾向を加速させており、
このダブルパンチによりゲーム根本のテンポをかなり損ねています。
本作最大の問題点と言っても過言ではないでしょう。
「HYPER→HIGHSPEED→GENIUS」と構造としては同じなのですが、あちらと比べると正直洗練がされておらず
最初から最後までこのテンポの悪さがとにかく鬱陶しさを感じます。
演出手法としてはありなんですが注力のバランスを間違えている感じ。残念なところです。
アイキャッチ自体はデザインも洗練されてるし動的でカッコイイのでそういう意味ではポイント高いんですけど。
■進行関係システム
進行として使えるシステムはスキップ・オートのほか、選択肢に進む・戻るもあり。ログからのシーンジャンプこそ
ありませんが、これだけあれば十分だろう・・・と思いきや。困ったことにこのうち、「前の選択肢に戻る」以外の
3種について、どれも前述のアイキャッチで止まってしまいます。これは本気でいただけない!
ただでさえテンポブレイカーとして不満なほど頻繁なアイキャッチに邪魔されるので、正直イライラ。一応構造上
単純にクリアする分にはスキップもジャンプも使う必要ないのは確かなんですが、件のBAD回収を行おうとすると
全選択肢にしっかりセーブデータを作っていたとしてもいくらかは使う必要があるので結果的には高確率で
このイライラに遭遇することになるでしょう。ほんとマジでどうしてこうなった。
「前の選択肢に戻る」の方はチャプターちゃんと飛び越えるのが余計ムカつくんですよね!(笑)
アイキャッチを多用すること自体はゲームテンポさえ整えれば否定しませんが、こちらについては
何が何でも次回作では絶対に改善して欲しい部分です。
■システム・コンフィグ関係
システム動作については上記進行形以外については基本的につつがなく。最近高い人気のういんどみるの
システムを使っているのでそうそう不満はないでしょう。どころかコンフィグボタンの配置や構造については
「HHG」と全く同じなので、あちらを不便と思っていない人であれば不満はないと思います。
■デザイン関係
デザインについてはかなりきっちりと綺麗に作られています。部分部分には雪の結晶、ないし雪の結晶を
モチーフにして組み上げたような幾何学的模様をアクセントにしていますが、基本的にはオーソドックスな
デザインです。しっかりバランスを計算されているので見た目のおかしさや不安感もなく、
ちゃんとした商業デザインと言って構わないでしょう。操作性や可読性についても問題ありません。
ただ一点気になる部分とすれば、メインテキストウィンドウなどを中心にちょいちょい見られるボタンの
ピクトグラムの選択がいまいちかなぁと。既読スキップがいわゆる「取り出しボタン」を横に向けたような
絵だったり、コンフィグボタンが定番だと「歯車」とかのところを「虫眼鏡」というどちらかというと
検索したくなるような絵だったりと。他にも単純にそのピクトグラムから直結で機能がイメージしづらい
ものがあり、これだけはもうちょっと推敲してほしかったかなというところです。
■演出
演出関連はいろいろあり。まず天候効果としては雪物語なだけあってよく雪が降り。加えて選択肢における
とある決断の演出も一風変わったものがあったりと、このあたりはHHGっぽいところ。更にそれより
目立つ部分として本作は久しぶりにかなりしっかりした「目パチ」と「口パク」が採用されています。
立ち絵とボイスの同期こそあんまりありませんが、この辺はむしろ「失われた未来を求めて」に近い
雰囲気を感じますね。
ただそこらへんの注力に比べると立ち絵芸は少し乏しいかな?までも一応トータルすれば
平均的な作品以上にはいろいろ動くものも多いですし、好意的にとらえていい部分だと思います。
無いものねだりを考えればまだいくつかありますが必要十分ではあるでしょう。
■音関係 - 音楽
音楽はMUSIC MODEで確認できるものは全41曲。うちボーカルは主題歌とED、あと特殊なものが1曲。
主題歌は歌ってる山本美禰子さんが非常に個性的な、エロゲ系ポップスよりももう少しアーティスティックな
雰囲気に寄ってる分個性と好みが割れそうですが、曲自体は結構いい感じ。何度も聞くと味がありますね。
逆にエンディングはエロゲとしてかなりオーソドックス。聞きやすいですがあんまり覚えもよくないかも。
BGMについては羽鳥風画氏が担当。われめてやHHGに引き続き、という流れですね。曲自体の質は相変わらず
高いのですが、ちょっと今作は氏の個性が前に出すぎかな、という気も。近代的なイメージの強い音作りなので
現代劇プラス昔話の体が強い作品内容からはちょっとばかしズレを感じるかなぁ、と。プチ惜しい。
■音関係 - 効果音
効果音は可もなく不可もなく程度でしょうか。基本的に環境音中心で、感情系の音はさほど多くはなく。
量も質もとりたてて文句をつける部分はないですが、さりとて個性を発揮しているポイントというほどの工夫が
あったような気もしないので、何かしら特記する部分ではないでしょう。
■音関係 - 声優
最近のエロゲーにしては珍しく声優さんの名前は非公開の作品です。といっても、それなり
エロゲやってれば聞いた覚えのある声ばかりではありますが・・・一部確かにエロゲでは
あまり多く聞いた覚えのない人もいるかな?
キャスティングや演技については個人的には違和感や不満を覚えるところはなし。メインヒロインズも
よかったですが、春野姉妹の、特にかえでのやかましい感じはかなりウザ可愛くて好き。
さくらの控えめな突っ込みともいい塩梅でバランス取れてて魅力的だったように思います。
■絵関係 - 全般
原画はみけおう氏。基本的には非常にオーソドックス、王道、平均的な萌え絵を描く方、という印象が
まず一番にくる方ですね。ただ、今作の場合その印象とは一段別に、非常にこう、おっぱいが強く強く強く
強調されています。強調度合いが凄いので3度重ねて言ってみましたがそれくらい見れば判るおっぱいです。
インパクトの強さやパッと見の目の引き、キャッチーさとしてはかなりアリだとは思いますが、しかし流石に
地盤となるみけおう氏の萌え絵から乖離しかねない大きさなのでこれまた好き嫌いが強めに割れる部分にも
なってしまったようには思います。巨乳好きか、どんなに最低でも巨乳に対して苦手さを感じないくらいであれば
普通に見ていくばくかは楽しめると思いますが、貧乳派にはかなり厳しい絵ではありましょう。
それはそれとして置いといてキャラクターデザインはみけおう氏の既存作品以上の魅力はあるのではないかと。
特に衣やかえであたりの表情などは、悪く言えば無難な印象の強い氏の絵から一歩踏み出したような
引き出しを感じるものがいくつかあり、かなり魅力的に感じました。
塗りについても基本的には綺麗ですね。特に肉体のフィクション的光沢感がいい感じで、ムッチムチ(死語)な
全ヒロインのボディのエロさをうまいこと引き上げているように思います。ただ反面、塗りの質の安定感という
意味では少し気になるところも。イベントCGによってどことなくながらも完成度に差を感じる部分がありました。
■絵関係 - イベントCG
イベントCGとして登録されるものは全87枚。これだけ言うと結構多めに聞こえますが、しかしそのうち
件のBAD回収によって手に入るおまけイラストなどを除くと純粋な劇中イベントCGとしては77枚となります。
おまけイラストの内訳は今までに販売されたグッズなどに使われてるイラストや、雑誌版権画像などが
入っており、お得なような、水増しとも感じるような、印象としては一長一短かしら。
でも、ないよりはずっとあるほうがいいですし、なかなか大きくデジタルで見れない絵なので
悪いことではないでしょう。
本来の劇中量もまぁギリギリ平均の範疇には入りますしね。ヒロイン4人ですし。予約特典である
ファンディスクの方に枚数取られて本編がおざなりに・・・なんて言うほどではなかったので一安心。
ちなみにその予約特典ディスクに入ってるイベントCGは5枚ほど。逆にこれを足して考えていいのであれば
十分すぎる量でもあると言えるでしょう。
■絵関係 - Hシーンについて
Hシーンは風祭姉妹が各4回、残り二人が3回。イベント絵の非HCG:HCG比率はほぼ半々ですね。ただ、
通常イベントのCGもラッキースケベ系なイラストがちょいちょいあるので印象的にはもうちょっと
エロ絵寄りには感じます。
HCGの絵自体は前述の塗りの要素や極度にインパクトのあるおっぱいなどに加え、かなり大胆な、
ともすれば下品なおっぴろげ的Hシーンが多いので見た目のエロさはかなりダイナミックです。
がしかし純粋にシーンとしては導入から終わりまで普通の萌え系エロゲーらしいHシーンなのでさほど新鮮味は
なく、覚えのいい個性的などはないので、実用性という意味では絵と声重視、と考えておくのが無難でしょう。
■絵関係 - 立ち絵
立ち絵のポーズパターンはメインヒロインが各3種類に、衣装差分として制服・私服・水着・全裸が完備かな?
他、キャラ個別によっていくつか特殊衣装はあったりなかったり。加えてサブキャラの春野姉妹もポーズは
2種ある上、衣装も完備4パターンはそろえてあるので、女の子たちの見た目の華やかさは高め。
男性陣もソツのない程度には衣装がありますし、違和感は殆ど感じないでしょう。表情などのバリエも
必要十分に存在しているのでそちらの意味でも問題はなく、かなりベストな立ち絵・・・と言いたいのですが。
劇中ずーっと気になってしまったのが、絵の出来や量云々ではなく、表示方法。なんというか、劇中その殆どが
ずーっとどのキャラも・・・近いんですよ。普通の萌えゲーでなら「主人公に寄り添っている」状態として
表現されるような距離感でデフォルトを過ごすので、とかく近く、圧迫感があります。そのためぶっちゃけ
劇中ではヒロインズの胸から下を見ることすらあんまりありません。ごく稀に表示される引きの構図を見る限りは
どの絵もちゃんと下の方まで作りこんであるにも関わらず・・・。一応、そのアップ状態にも
耐えられるしっかりした画質の絵が入っているので、絵自体には評価できるんですが、やっぱり違和感からくる
不満感の方が強いですね。ここはもっと普通のエロゲーとしてやってほしかったように思います。
■話関係 - キャラクター全般
キャラクターについて。一応普遍的に言うのであれば、エロゲヒロインとして正統派のヒロインってとこですかね。
ライトユーザーに入りやすい感じの、適度に設定や過去があって、性格自体は極端に偏りや個性をつけず、
萌え属性を判りやすく配分したキャラ作りです。ライターであるサイトウケンジ氏「らしい」キャラ構成で
あるように思います。そのためとっつきやすさはかなり高いですが、深く印象に残るものかといわれると
さほどでもなくという、王道萌えゲーらしい感想の出てくるキャラクターズになってます。
男性サブキャラズについてもやはり同じく正統派の方法論で作られてるキャラばかりですが、ただ
こちらについてはパパさんにしろ恭介にしろ、かなりサイトウ氏らしいはっちゃけ感が強いです。
インパクトという意味においては無駄にキャラ付けが濃い分ヒロイン以上かも。
■話関係 - 主人公
主人公もまた上記男性キャラに則して、ヒロインよりも個性が強め。とはいえ基本的には能力スペックも
低くなく、非常に素直でオープンスケベでお調子者、しかしやるときはしっかりやる・・・なーんていう
まっすぐで気持ちのいい性格なので、ゲームのプレイ進行役としての不満は殆どないでしょう。若干やたらと
番長番長うるさいのと、リアクションがデカいのが人によっては気になるかもしれませんが、この辺も
「ケンジ氏のキャラだし」と思える人なら大した問題にはならないでしょう。いわゆる平常運転です(笑)
■話関係 - テキスト
前述でもう既にちょいちょい名前出しちゃってますがシナリオ担当はサイトウケンジ氏と、加えて
HHGでもコンビを組んでいた深山ユーキ氏のダブルネーム。といっても、深山氏はいわゆるサイトウ氏の弟子の
ライターとなりますので、普通の複数ライター系ゲームと比較するとその差は殆ど感じることがありません。
テキストスタイルとしては相変わらずのハイテンポ。日常のギャグシーンはガンガン転がすし、シリアスに
なってもうじうじ悩まずキャラも物語も動くさまは読んでいてすっきりします。
ただやっぱりこれまた氏らしく、軽い感じのギャグやパロネタもちょいちょい散見されます。これについては
相変わらず賛否ありそうだなぁというのと、加えて今回、妙にHHGネタが多いのが気になるところ。確かに今作を
プレイする人はHHG層と結構被ってるだろうとは思うんですが、それにしても同年発売の、中堅級のタイトルの
ネタを早々に紛れ込ませるのは尚早な感じは否めないかなぁ、という気はします。
■話関係 - シナリオ
ストーリーとしては、タイトルにもなっている「真夏」ですらも「雪」が降るという不思議な万年雪の町で、
その雪と、町に伝わる雪女伝説を解き明かしていくというストーリー。こう表現するとこのゲームをパッと見ての
印象とは大分違うように思いますがまさにその通りで、意外なほどにしっかりした町の秘密や雪女の
ストーリーの作り込み具合や、そしてヒロインたちが秘めている/課せられているストーリーのギミックなどは
なかなかの読み応えやサプライズをしっかりと内包しており、シビア。各ヒロインルートにおけるラストの問題と
引きもなかなかえげつないですし、物語のラストとなる真相解明は結構引き込んでいくものもあったりと
なかなか面白みのある読み物になっています。・・・なっています、が・・・
しかしこう、あれなんですよね。ユーザーはそれを求めてただろうか、っていうと微妙なものがあるというか・・・
あのキャッチーな萌え絵といい、サイトウケンジ氏の軽快なテキストといい、どう考えてもどちらかというと
それよりもらぶいちゃ分などを楽しみたいお客さんが多かったんじゃないかなーと思うと、ちょいと解せない感じ。
決してそれらが乏しいわけではないのですが、何分作中では最初から最後までシナリオを追いかけ続けるので
安心してただ日常と萌えを享受できるパートが全体の比率からするとさほど多くもないのですよね。
加えてストーリー的に仕方ないとは言え実質二度ヒロインをクリアするような構造になっているのが
正直作業感や舞台装置をまわしている感が強く、飽きを誘ってしまいがち。二度周りする分を一週に統合し、
もっとしっかりヒロインとの触れあいやキャラクターとの日常的なパートに注力してくれたほうが
楽しいゲームになったんじゃないかなぁ、と思えるのでかなり勿体無かったように感じてしまいます。
実はそれに対して予約特典ディスクの内容はまるで抑圧から解き放たれたかの如くケンジ氏お得意の
パロネタやメタネタの乱舞でかなりカオスなんですが、正直笑えるし楽しく進められるしでまだ全編
このカオスっぷりの方が受け入れやすかったのでは・・・とすら思ってしまいました。
ストーリーの作り込みは評価できますが、それはそれとしてどうにも肩透かし感が否めなかったかな、
という気はしますね。
いじょう。
色々と面白いポイントや精力的な部分が見られた反面、その意気込みが空回りしてしまっている部分もあり、
トータルとして足を引っ張られて平均的なものに落ち着いてしまった、といったところでしょうかね。
やっぱりどんなにいい工夫や個性があっても、バランス感覚を欠いてしまうとイマイチになってしまうなぁと
痛感する作品だったように思います。俯瞰でのトータルバランス、超大事。
ましかし、その攻めの姿勢には多いに賛意を送りたいところ。ただ無難な萌えゲーを作るでなく、
製作陣がやりたいことにガツガツし、表現している雰囲気が見えるのは有機的でテンションが上がります。
このスタンスで製作を続けられるのであれば、そのうちいい感じの化学反応が起きるような作品が
出てくるのではないかと思います。個人的にはやはり次回作である「フツウノファンタジー」からまさに
雰囲気といい設定といい、コケるかもしれないけど同じくらい化けるかもしれない魅力と可能性を感じるだけに
是非ともこの調子で突っ走っていって欲しいと思います。
それでは最後にいつものオススメユーザーについて。
なんだかんだと色々言いましたが、しかしとりあえずまず「巨乳派萌えゲーマー」はチェックしてみても
いいんじゃないでしょうか(笑)後はまあ、萌えもシナリオも、どっちかだけではなくどっちもそれなりに
読めるものが欲しい、なんて人にもワンチャン推せますかね。
メーカーとしても今後中堅レベルには上がっていきそうですし、スタンスや意気なども含めて
注目していきたいところです。


















